やまなし伝統工芸​~井上染物店

やまなしの伝統工芸12の一つである「甲州武者のぼり・鯉のぼり」の老舗井上染物店
大量消費社会で一般に価格が高く使い捨てにはなじまない伝統工芸品に対する消費者の関心が薄れてきている中、何とかして甲州武者のぼり鯉のぼり等端午の節句用製品を多くの方に広く使ってもらえるようにというご支援です。

✦相談のきっかけ

7代目当主井上展弘氏は、大学卒業後、家業である染色の道に進み、現在は店舗の横に工房を構え、先代たちが残した伝統の技術とものづくりに対する姿勢を大切にしながら、妻、母とともに本染めの商品を世に送りだしておられ、何とかして甲州武者のぼり鯉のぼり等端午の節句用製品を多くの方に広く使ってもらえる手はないものかと当拠点に来られました。

 

✦現状分析と課題

(1)外的要因
①消費者の生活様式・生活空間の変化
都市化に伴う集合住宅の増加により居住面積や庭が減少したこと、又、衣食住の洋風化が進展したことで、生活の中での伝統工芸品の居住空間(居場所)や登場機会(出番)が少なくなってきた。核家族化が進み、年少者への生活様式の伝承が円滑に行われなくなったことも一要因と考えられる。
②生活用品に対する消費者意識の変化
大量消費社会の中で、一般に価格が高く、使い捨てにはなじまない伝統工芸品に対する消費者の関心が薄れてきている。製作に手間暇がかかり、比較的高価な伝統工芸品が、消費者から敬遠されるようになったのではないかとも考えられる。
ヒアリングの結果、以下現状を分析。

 

 

 

 

(2)内的要因
①ニーズに適合した商品開発の遅れ
作り手から見た、生活者の新たなニーズに適合した商品開発​​​
②新たな流通経路開拓の遅れ
情報ネットワークの進展による効率的な流通システムを活用しきっていない。
③知名度不足・情報提供不足
伝統工芸品の持つ良さや味わい深さ、暮らしの中での活かし方等の情報がほとんど提供されていない。

✦提案と支援の内容

①生活者の新たなニーズに適合した商品開発提案→ 室内用鯉のぼりの製品開発
②ロゴデザイン、及び、商標登録の提案

<具体的提案>
☑ 簡単に出し入れができる室内用ミニ鯉のぼり試作
☑ ミニ鯉のぼり「chiccoi」
・chiccoiの最後のiに鯉のイラストを付けるデザインに加え、iに富士山イラストをぶら下げたバージョンデザインを提示し訪日海外観光客向けの新たな市場設定について提案。
☑ミニ鯉のぼり「chiccoi」の商標区分第28類、指定商品役務の内容登録申請検討(知財総合支援窓口連携支援)​