人手不足で受注能力限界だが、入社した社員が定着しない ~就業規則の整備で人材定着し、生産性も向上~
✦相談のきっかけ
株式会社カーフィックスワタナベは、「大切な愛車を元通りに直します」をモットーに平成21年に創業された。
板金塗装技術、コーティング技術の高さで顧客やディーラーを獲得し、受注数が伸びを見せていたが、その反面人手不足から受注が処理能力の限界を超える状況になっていた。そのため仕事を捌けるよう人材を採用するが、入社した社員がなかなか定着せず、
取引先金融機関から山梨県よろず支援拠点を紹介され就業規則を整備し人材定着を図りたいと来訪された。
✦支援の流れ、課題
まず、COは現時点での始業終業時刻、休憩時間、稼働日数、残業時間数、有給休暇付与等の情報に加え疾病時の扱いや慶弔の取扱いなど日常的に運用されている事項を確認。
労働関連法で義務付けられている事項に関し、適切に運用はされているものの、明記されたルールがない制度の整理と構築を課題とした。
✦解決策の提案と実行
法定の労働条件をしっかり確保することを提案し、就業規則制定届、時間外・休日労働に関する協定届といった各種届の作成や監督署への提出を支援し、提出も完了。ハローワークやWEBでの求人も行った。
✦支援活動の成果
技術習得意欲のある女性2名を雇用することができた。
労働条件の整備・明文化により、社員の士気も上がり、確かな技術、丁寧な作業を習得し顧客より厚い信頼を得て生産性向上にもつながり、経営者から相談してよかったとの感想もいただいた。
✦支援者長坂コーディネータから一言
山梨県では中小企業における人手不足問題が深刻化しているが、その原因は地域や企業によって異なるため、それらをよく理解した上で支援を行っていく必要がある。
今回は採用者の定着という側面から就業規則の作成が課題となったが、小規模事業者の半数程度は家族経営であり常用雇用者がいないため、就業規則がない場合が多く、働き方改革が進められる中、新規雇用を獲得するためには規則の策定を行う必要性が高まると思われる。
この際に単に企業や労働者の権利や義務を記載するだけでなく、実際に運用する上で無理のないよう、かつ企業防衛という観点もいれた就業規則となるよう意識して支援を行った。
このように紋切り型でテンプレートを少し改版した程度の形だけの規則ではなく、企業の実態にあった規則を作成する必要がある
相談者の渡辺由美子氏と代表取締役の渡辺昌樹氏 作業に取り組む女性スタッフ