事業多角化の取組みで美容室がペットトリミングサロンを新設
~永年にわたり美容室を営み、新たにペットトリミング業界への進出を構想する事業者。2015年秋に開業。(山梨市)~
✦相談のきっかけ
・地域住民の高齢化、核家族化の進行や高齢者の一人暮らしの増加等を背景に、美容室の既存顧客の中でペットをパートナーとする中高年客が増えていることに相談者は着目。
・代表者自らも5匹の愛犬家であることから、長い飼育経験により培われたペット扱い技術を生かしたトリミングサロンの開業を発案。経営革新等認定支援機関である顧問の荻原秀樹会計事務所の紹介で当拠点に来訪した。
✦課題整理・分析
【事業環境】
・当地域は、人口1人当たりの美容院数が全国でも高く、見込み客の母数である人口減少も著しいので、将来的に既存の美容室の売上を伸ばすことは困難と判断。
・一方で、犬をパートナーと考える中高年者は、家族同様に大切にペットを扱う傾向にあり、既存顧客が愛犬をトリミングさせたいという需要が見込まれる。
・なお想定主商圏内には新事業にかかる競合店がいないことが判明。
【強み】
・店舗に空きスペースがありペットサロン等に転用可能。
・個人的なつながりを生かし、Top-Dogs(ペットトリミング業)を展開するフランチャイザーからノウハウ導入が可能であった。
【課題】
①商圏内の正確な市場規模などは掴めないことを踏まえ、トリミング単体での事業成立性の不確定さを補う事業領域の設定。
②トリミングサロンの路面店としての販促・接客ノウハウの獲得。
③既存事業と新事業の継続的な連
✦解決策の提案
①外部データを活用して事業ドメインの再設定を提案。収入の柱となるトリミング単体のみでなく、ペットホテルや一時預かり、特に物販コーナーの併設を助言。
②トリミングサロンとしての認知度アップのために、折込チラシ・のぼりなど、最適な販促ツールの選択と手法を助言。同時に出張トリミング事業による認知度アップも提案。
③サロン(カット)を基本とし、ペットにもオシャレをさせたいというニーズに対応した飼い主との接客コミュニケーションを取得すべく、フランチャイザー研修にも参加するよう助言。
④日々のコミュニケーションを通じた各店スタッフの情報共有・推進による店舗間の連携の重要性についても説明。
✦成果
・美容室とペットトリミングサロン(「来夢TOP-DOGS山梨店」)が併設された店舗改装を実現。サロン単体ではなく物販コーナーの併設など、再設定された事業ドメインに基づき実行。
現在、集客に向け、デジタルサイネージ設置など、さらなる販促に取り組んでいる。
・ペットトリミングサロン開店後は、美容室顧客がペットトリミングサロンに、また、ペットトリミングサロン客が、新たに美容室の顧客に結び付くなど、相互送客・相乗効果が実現。
・ペットは、「パートナー」や癒しの存在として認知されてきていることから、今後も地域生活者の暮らしを美容とペットトリミング両面で、店舗間で緊密に連携しながらサポートすることでさらなる事業拡大が見込まれる。