事業承継を機会に農業ビジネスへ参入し、新たな成長基盤を構築~ヤマエ株式会社~

最終更新日:2026年1月7日
事業承継を機会に農業ビジネスへ参入し、新たな成長基盤を構築~ヤマエ株式会社~

【相談概要】

ヤマエ株式会社は、かつて青果物卸売業を営んでいましたが、事業承継と同時に主要事業を譲渡し、賃貸事業中心の事業形態へ転換しました。
しかし、売上の大幅減少や損益構造の変化により、今後の成長戦略づくり が喫緊の課題となりました。

経営者は新たな収益柱として「農業ビジネス」に着目。
山梨県よろず支援拠点へ、売上拡大策および公的支援活用について相談が寄せられました。

【事業者概要】

  • 会社名:ヤマエ株式会社

  • 所在地:山梨県甲府市国母2丁目23-10

  • 業種:賃貸業・農業

  • 従業員:20名以下

前身は「甲府青果株式会社」。
令和5年11月、親族内事業承継を機に青果物卸売事業を大手小売へ譲渡し、土地・建物の賃貸事業を軸に再スタートしました。

【相談のきっかけ】

事業承継後、売上は減少し、事業構造も大きく変化。

賃貸事業は配送センターのみのため拡張余地が限られ、「従業員の活躍の場を守りながら事業を成長させたい」という課題を抱えていました。

経営者は、自身の農業経験や既存のネットワークを活かせる分野として農業ビジネスへの参入 を検討し、その事業拡大についてよろずへ相談されました。

【相談者の状況(財務・経営)や課題内容について】

新規に開始した農業事業は、自社農地および耕作放棄地の受託管理により果樹・野菜を栽培し、県内外のスーパーやECで販売する取り組みでした。

しかし次の課題が存在しました。

  • 事業承継後、青果物販売量が大幅に減少

  • 価格競争ではなく 付加価値で勝つ体制 が必要

  • 需要に合わせた 通年供給の仕組み が未整備

  • 農作業経験の少ない従業員も多く、労働負荷が高い という課題

  • 生産・出荷の効率化が追いつかない

「どうやって“高品質・省力化・安定供給”を同時に実現するか」が焦点となりました。

【コーディネーターの支援方針の提案・相談者の対応状況 など】

▶ ① 需要に合わせた「長期保管システム」導入支援

シャインマスカットややはたいも等、付加価値の高い青果物を 鮮度を保ったまま保管 し、必要な時期に販売できるよう、湿度調節型冷蔵庫 の導入を提案。

▶ ② 省力化機器の導入設計

現場を分析し、次の機器を選定。

  • 乗用型草刈機(除草作業の大幅効率化)

  • フルーツセレクター(糖度など品質測定の省力化)

▶ ③ 補助金の活用設計

導入負担を軽減するため、適切な制度を選定し、活用を支援。

  • 事業承継・引継ぎ補助金

  • 業務改善助成金

補助金要件や義務内容を丁寧に確認しながら、計画的で無理のない投資 となるよう伴走しました。

【支援のポイント・気をつけたこと】

  • 事業承継後の 事業の位置付けと意義 を一緒に整理

  • “なぜ農業か”“どんな強みがあるか” を議論

  • 補助金は「使えるから申請」ではなく、目的との整合性 を重視

  • 経験豊富なコーディネーターがチームで支援

  • 設備導入後の運用を見据え、従業員の負担軽減 まで踏み込んで検討

【成果・定量的成果、今後の展望など】

✔ 定量成果

  • 長期保管により 販売時期を通年へ拡大
    (例:収穫期8月のシャインマスカットを翌1月まで販売)

  • 除草作業:24時間 → 3時間 と約1/8へ短縮

  • 品質測定:作業時間を1/2に削減

売上高・付加価値額は事業譲渡で一時的に減少しましたが、労働生産性は前年度比24倍 に大きく改善しました。

✔ 今後の展望

  • 作付面積の拡大

  • 栽培品種の拡充

  • 地域特産物に特化した企業として差別化されたブランドづくり を推進

【相談者の声】

事業構造転換という大きな局面でしたが、よろず支援拠点が伴走してくれたことで、事業承継後の経営安定化を早期に進めることができました。
補助金活用も含め、私たちの状況に合わせた支援に感謝しています。